睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

イビキとは、眠っている時に上気道が狭くなることで、のどから出る音です。この閉塞が重くなるとイビキだけでなく、眠っている時に息が止まってしまいます。この状態になる疾患が「睡眠時無呼吸症(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」です。
「無呼吸」は、「眠っている時に呼吸が10秒以上止まってしまう状態」と定義されています。無呼吸が「一晩で30回以上起こっている」、または「1時間につき5回以上も起こっている」場合は、「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。
ただし、無呼吸が起こっても多くの方は自覚できないため、発症に気付かないケースも多いです。家族やパートナーに「イビキがひどい」「呼吸が止まっていた」と指摘された方は、速やかに当院まで受診してください。

発症すると脳・全身が酸欠状態に陥るため、重篤な疾患の発症リスクが高くなってしまいます。睡眠の質や量がかなり下がってしまうため、日中我慢できないほどの睡魔に襲われ、大きな事故の原因となる場合があります。また、職場や学校で集中するのが難しくなるため、日常生活に悪影響を及ぼしたりすることもあります。

下記でまとめている症状をチェックし、少しでも当てはまっている部分があった場合は、放置せずに当院までご相談ください。必要な検査・治療を受け、健康的な毎日を送れるようにしましょう。

自分では気付きにくいですが、放置すると命に関わる疾患です

大きなイビキや無呼吸だけでなく、「眠った感じがしない」「口やのどの渇き」「居眠りしてしまう」、「疲れが取れない」、「集中力の低下」などのトラブルも現れます。
日本の潜在的患者数は約200万人以上だと言われていますが、眠っている時に症状が現れる疾患ですので、発症に気付かない方も多く、実際に治療を受けている方は、20%程度だと指摘されています。
進行したまま放っておくと、命を落とす危険性もあります。低酸素状態になるため、心臓や血管への負担が大きくなり、脳梗塞や心筋梗塞、不整脈、高血圧などのリスクも高めてしまいます。
また、低酸素状態と睡眠不足によって身体への負担が大きくなると、糖の代謝に関与するインスリンなどの体内のホルモンの機能も衰えてしまいます。その結果、糖尿病や脂質異常症を引き起こす可能性も高くなります。

症状

患者様の多くは、寝ている時に無呼吸だと自覚できていません。特にイビキは家族・パートナーの方から指摘されたことをきっかけに気付くケースが多いようです。
進行すると、高血圧や心筋梗塞、不整脈などのリスクが高くなります。そうならないためにも、まずは下記に当てはまっていないかをチェックし、心当たりのある方は早めに当院へご相談ください。

睡眠時の様子

朝の様子

日中の様子

原因

眠っている時に気道が狭くなってしまう「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」と、呼吸中枢に何らかの異常がある「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」があります。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

気道が狭くなることで無呼吸になる状態です。息苦しさを感じると、呼吸はまた始まります。呼吸が停止している状態でも、身体は息をしようと動きます。肥満や骨格(顎が小さいなど)によって物理的に気道が狭くなることが原因で、呼吸が止まってしまうタイプです。

中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

何らかの理由で延髄から指令が出なくなる状態です。人間の呼吸は、脳にある延髄からの指令によってコントロールされています。
発症すると呼吸しようとする動きすら見られなくなりますが、延髄が指令できるようになると、呼吸は再度始まります。OSAとは違い気道が開いており、身体の異常も見られません。

検査方法

検査方法当院では、睡眠時無呼吸症候群の有無を調べる簡単な検査を実施しています。ご自宅で専用の検査機器を着けていただき、その状態で眠っていただく検査です。
センサーを鼻または指に付け、いつものように眠っていただくというシンプルな方法です。痛みは伴いませんので、安心して受けていただけます。
睡眠時の呼吸や血中酸素飽和度などを調べることで、無呼吸・低呼吸状態になっていないか、その頻度などが分かります。精密検査が必要と医師が判断した際は、専門の検査施設へご案内し検査入院を行って頂きます。

治療

ダイエットや側臥位(そくがい:横向き寝)で寝る睡眠指導、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法、手術療法などを行います。当院では、患者様の生活習慣に合った治療法を提案していきます。
平均よりも明らかに体重が多い場合は、ダイエットを行うと症状がより改善されやすくなります。生活習慣の改善は、生活習慣病の発症リスクの軽減にも繋がりますので、他の治療法と一緒に行っていきましょう。
無呼吸状態を放置するのは禁物です。放っておくとQOLが大きく低下してしまいます。
当院では治療だけでなく、生活習慣の改善指導もわかりやすく丁寧に行っています。

CPAP療法

「経鼻的持続腸圧呼吸療法」です。眠っている時に鼻から常時空気を流し込むことで、気道を常に開かせ、無呼吸状態にならないようにします。
マスクを着けて寝る方法ですので、「息苦しいのではないか」と思う方もいらっしゃいますが、かなりスムーズに呼吸して眠ることができます。流し込む空気の圧は細かく調整されており、停電時でも機能は停止しませんので、ご安心ください。
高い治療効果があると評価されているため、アメリカやヨーロッパ、日本では、睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法として普及されています。

外科的手術

扁桃・アデノイドの肥大によって気道が狭くなったり塞がれたりする場合は、摘出手術を選択します。無呼吸・低呼吸状態を招く原因が他にない場合は、根治治療になります。手術が必要だと判断した際は、手術環境が整っている医療機関へご案内します。

いびきや日中の強い眠気などがあれば、積極的に受診しましょう

睡眠時無呼吸症候群は、発見が難しい疾患です。しかし、家族やパートナーから大きなイビキを指摘されたことを機に、受診された方は多いです。
一人暮らししている方の場合は、イビキを指摘される機会に恵まれないため、なかなか疾患が発見されません。その場合は「日中我慢できない程の眠気」や「熟眠した感じがしない」「身体がだるい」「睡眠中の息苦しさ」「夜間頻尿」などの有無をチェックしましょう。このような症状に心当たりがある場合は、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。その際は速やかに当院で受診してください。

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