原因
あせもや虫刺され、湿疹を掻きむしって生じた傷口で細菌感染が起こることで発症します。また、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方は肌の防御機能が弱まっていますので、発症率が上がります。痂皮性膿痂疹は溶血性連鎖球菌、水疱性膿痂疹は黄色ブドウ球菌が原因菌となります。これらの菌は、健康な人でものどや鼻、皮膚に付着していることがあり、皮膚に生じた傷口から侵入することで発症に至ります。腕や関節、足などはもちろんのこと、鼻を頻繁に触る癖がある方は鼻に症状が出ることもあります。
症状
分厚いかさぶたができる痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)、水ぶくれができる水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の2つがあります。それぞれ原因菌が違うことが特徴で、水疱性膿痂疹は夏に発症率が高まります。それぞれの症状は以下の通りです。
痂皮性膿痂疹
- 初期段階では肌が赤くなる
- 膿が含まれる水ぶくれができる
- 水ぶくれを壊すと厚いかさぶたやただれが生じる
- リンパ節が腫れる
- のどの痛みや発熱が起こる
水疱性膿痂疹
- 初期段階ではかゆみや赤みを伴う水ぶくれができる
- 水ぶくれを壊すとただれが生じる
- 鼻の周囲に生じることもある
治療
重度の症状があり短期間での治療が難しい場合には、抗ヒスタミン薬でかゆみを抑制することや、抗菌薬によって原因菌の繁殖を抑制するようにします。
とびひの治療においては、「衛生状態に気を付ける」「なるべく患部を触らない」「二次感染を起こさない」ことが重要です。
患部の衛生状態に気を付けることで拡大を防止し、なるべく触らないことで水ぶくれの破壊を防ぐことができます。足や腕に症状があれば、ガーゼを付けるなどして直接患部を触らないように意識すると良いでしょう。
また、水ぶくれを破壊した後に漏れ出す液を拭きとらずにいると、とびひの拡大に繋がりますので、しっかり泡立てた石鹸で丁寧に洗い流してください。洗った後も衣類やタオルを使いまわすことは厳禁です。周囲への二次感染を防ぐために、なるべく患部に触れないことだけでなく、プールなど素肌で接触することを避け、ガーゼや衣類で患部をカバーすることも重要です。
対策
とびひは強い感染力を持つため、周囲への二次感染を起こさないようにお気を付けください。
- 日頃からスキンケアや保湿を心掛けて皮膚の防御機能を維持する
- タオルは使いまわさない
- 手をしっかり洗って、爪の長さや皮膚の衛生状態に気を付ける
- 他のご家族が済んでから入浴するようにして、ご自身が使った用具や浴槽はしっかりと洗う
- 鼻の中に細菌が多く存在するため、鼻の穴に触れない
- ご家庭でも食器は使いまわさない
- 皮膚に傷ができたらガーゼで覆うなどして掻きむしらないようにする
とびひの発症を防ぐために、上記について意識しながら日常生活を送りましょう。
子どもがとびひを発症しても、通学・通園しても問題ありませんが、周囲の子どもへ感染しないように、患部をガーゼや包帯でカバーして直接接触を避けてください。
また、夏場にとびひの発症は増えますので、症状が落ち着くまでは水泳の授業は参加しない方が良いでしょう。