一般皮膚科について
皮膚の異常・疾患は、老若男女問わず、多くの世代に起こり得るものです。特に、服や下着などで湿りやすい部位は、汗や老廃物が溜まりやすいため、皮膚トラブルが発生しやすい傾向にあります。しかし、「恥ずかしい部位だから医師に診られたくない」「どうせ大したことない、すぐに治るだろう」と思って、受診を避けてしまう患者様が多くいらっしゃいます。
当院では女性の医師が、一般皮膚科の診察を担当しています。きめ細かな診察を行い、患者様のご要望に寄り添った治療を提供して参ります。
どんな些細なお悩みでも速やかに解決していきますので、お気軽に受診してください。
当院で扱う主な疾患
水いぼ
伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルスに感染することで発症する感染症です。
乳幼児・小さな子どもに感染するケースが多く、特に夏はプールでの感染が広がりやすいとされています。また、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方は感染リスクが高く、水いぼが多く発生しやすい傾向があります。
水いぼの治療
治すにはピンセットを用いて、水いぼを摘まんで除去する必要があります。除去前には「ペンレステープ(痛み止めが含まれているテープ)」を貼りつける場合があるため、除去は後日に行います。
脂漏性角化症
脂漏性角化症は加齢に伴って皮膚に発生する良性の腫瘍です。大きさは様々で、淡い褐色や濃い黒褐色のものが生じます。「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」とも呼ばれています。
脂漏性角化症の治療
液体窒素でいぼを凍らせる凍結療法を行います。1〜2週間に1度のペースで凍結療法を行う必要があります。液体窒素により、色素沈着や水疱化するリスクを伴います。
また、治療には時間がかかりますので、定期的なご来院が必要です。
尋常性疣贅
「ヒトパピローマウイルス(HPV)」と呼ばれるウイルスに感染することで、子供の手や足裏にいぼができる病気です。型が100種類以上存在するとされているヒトパピローマウイルスは、健康な皮膚には感染することはありませんが、ごく小さな傷口でも感染して発症するため注意が必要です。いぼの初期の形状は小さく平らですが、痛みや痒みは伴わずに段々と大きく盛り上がります。大きくなるにつれ、いぼの表面が硬くなり、ザラつきが見られるようになります。また、足裏のいぼは体重がかかるため、盛り上がることはありませんが歩くと痛みを感じる場合もあります。
尋常性疣贅の治療
液体窒素でいぼを凍らせる凍結療法、薬品を塗布して皮膚を腐食させていく方法などがあります。いずれの方法においても、1回の治療で治すことは難しく、何回か繰り返して治していきます。長期的な受診が必要です。
当院では液体窒素のみを行っております。
帯状疱疹
水痘帯状疱疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。このウイルスに感染すると、初めは水ぼうそう(水痘)が生じます。
症状は緩和されても、ウイルスが体外へ出ることがありません。治った後もウイルスは神経節の中へ隠れ続けています。(潜伏感染)
そのため、過労やストレス、加齢などで抵抗力が下がってしまうと、ウイルスが再び活動を始め帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹の治療
主な治療法は、抗ウイルス薬(主に内服薬)を用いた薬物療法です。
帯状疱疹は後遺症として、「帯状疱疹後疼痛」が現れることがあります。鎮痛剤でまずは治療を行い、難治である場合にはペインクリニックなどで専門的な治療が必要になります。基礎疾患がある方、ご高齢の方、症状がひどい方は場合によっては入院加療が必要になり、その際は大学病院やかかりつけの病院にご紹介させて頂くことがあります。
にきび
皮脂(皮膚の脂分)の過剰分泌によって起こるトラブルです。毛穴に皮脂が溜まることで起こります。
思春期によるものやストレスや過労、睡眠不足、不規則な生活リズム、間違ったスキンケアなどで悪化すると言われています。
にきびの治療
主な治療法は、外用薬をメインとした薬物療法です。患者様のニキビの重症度や種類に合わせて、抗菌薬や漢方薬、ビタミン剤(自費)などの内服薬も活用していきます。
膿をもったにきびの場合は面皰圧出なども行っています。
脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌がさかんな頭部の生え際・顔面などに、白いフケのようなものを伴った赤みを伴う皮膚炎です。症状は、頭皮や髪の生え際、顔面、鼻・耳の周辺、脇の下、胸部、上背部に現れます。
かゆみの度合いは人によって異なります。
成人の脂漏性皮膚炎は再発しやすい傾向があります。
脂漏性皮膚炎の治療
治療は基本的に、ステロイド薬・抗真菌薬の外用で、かゆみがある場合は抗ヒスタミン剤を処方します。
また、生活習慣病の改善も必要です。脂漏性皮膚炎は一度治っても繰り返すことがあるので予防が必要となります。
乾癬
銀白色の鱗屑(りんせつ)を伴った、赤い発疹(正常な皮膚との境界がはっきりとしている)が全身に現れる疾患です。青年期~中年期に発症する方が多く、慢性的に寛解と再発を繰り返す特徴を持っています。爪の変形や、関節炎を伴っている場合もあります。その場合は難治な場合が多く、高度医療機関へご紹介させて頂くことがあります。
原因はいまだにはっきりとされていません。ただし、遺伝や不規則な生活習慣、食習慣、肥満、ストレス、薬剤、感染症などが発症に関与しているのではないかと考えられています。
乾癬の治療
当院では、ステロイド薬・VitD3剤などの外用療法と内服療法で治療を行っております。
アトピー性皮膚炎
皮膚には、外部から侵入した異物から身体を守る「バリア機能」が備わっています。「アトピー性皮膚炎」とは、そのバリア機能の低下によって、アレルギー反応や刺激を受け、慢性的に症状が出てしまう疾患です。
寛解と再発を繰り返す特徴を持っていて、特に汗をかく夏季や、肌が乾燥しやすい冬季は、悪化しやすいとされています。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療は、外用療法(ステロイド薬、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏など)内服(抗ヒスタミン剤など)です。
また、適切なスキンケアの継続や、悪化因子の除去などを行い、発症しにくい環境を作ることが重要です。
ヘルペス
単純ヘルペスウイルスに感染することで発症する感染症です。唇、口周りにピリピリとした痛みを伴う水疱ができます。治ってもウイルスは体内に潜伏しているため、風邪をひいた・疲れがたまっている・抵抗力が落ちているなどのタイミングで再発します。水疱が出来ている間は感染力が強く、タオルの共有やキスでうつる可能性があるので注意が必要です。
ヘルペスの治療
主な治療は抗ヘルペスウイルス薬の内服・外用です。ヘルペスは早期の治療が重要になりますので、症状が現れた際はお早めに当院までご相談ください。
乳児湿疹
乳児湿疹は新生児~乳児期に顔面や頭部、首などを中心に現れる湿疹や肌トラブルのことです。過剰な皮脂の分泌や乾燥、汗による皮脂の減少などが主な原因となり、赤みのあるブツブツや黄色いかさぶた、フケのようなもの、膿が出るものなど様々あります。
乳児湿疹の治療
ステロイド外用薬を処方しております。適切なスキンケアを行うことも必要です。
とびひ(伝染性膿痂疹)
ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌が原因となり起こる感染症です。うつりやすい水疱や痂皮(かさぶた)、膿を持ったものなど様々な発疹が現れます。擦り傷・虫刺され・あせも・湿疹などで皮膚を掻きむしった際にできた浅い傷から菌が侵入し、赤く腫れて、ジクジクした水疱を形成します。皮疹が飛び火するように勢いよく広がることからとびひと呼ばれています。汗をかきやすく、肌の露出が多い夏に乳児や幼児の間で流行しやすいものや年齢・季節を問わずに発症することもあります。
とびひの治療
抗菌薬の内服と外用を併用して治療していきます。
痒みが強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服なども用いて治療を行います。
手湿疹
水や洗剤などで皮膚表面の皮脂や水分が減少する、アレルギー物質への接触、化学物質に触れ刺激に敏感になる、物理的に摩擦が起こるなどが原因で発症します。カサカサと乾燥する・水疱などができジクジクすることがあり、水仕事(洗濯・炊事など)を行う主婦に多いことから主婦湿疹と呼ばれることもあります。シャンプーやパーマ液を扱う美容師や手を洗う回数の多い調理師なども発症しやすいです。手湿疹にお悩みの方は当院までご相談ください。
手湿疹の治療
乾燥している場合には、保湿剤の外用を行います。
痒み、痛みがある場合には、ステロイド薬の外用で治療を行います。
症状をくり返すことが多いのでしっかり外用をして下さい。
しもやけ(凍瘡)
寒さで血行不良が起こることが原因の炎症です。5度前後まで気温が下がった環境で、1日の気温差が10度以上になると起こりやすいとされます。手足の指、耳、頬など冷えやすい場所に発症しやすいです。赤紫色の腫れが生じ、痛みや痒みを伴うこともあります。重度の場合には水疱ができ、時に傷(潰瘍)になることもあります。
膠原病でしもやけのような症状でる方もいらっしゃいますので、毎年しもやけになっている方は一度当院までご相談ください。
しもやけの治療
血流を改善する軟膏の外用、血流改善剤、ビタミンEの内服を行います。
蕁麻疹
急に皮膚が盛り上がって激しい痒みを伴います。部分的にできることもありますが、広範囲にできることもあります。日光、機械的刺激などが一部関与すると言われていますが、原因は多岐にわたり特定できないことが多いです。症状は通常、数時間~数日で収まることが多いですが、場所が移動し連日でることもあります。ストレス・寝不足などが誘因になることもあります。
蕁麻疹の治療
主な治療は抗アレルギー薬の内服です。
慢性的に持続する場合は、定期的に通院していただき、症状を診ながら内服量を調整していきます。
やけど(熱傷)
熱い液体・個体が接触することで起こる皮膚や粘膜の損傷です。やけどの深さ・ダメージによって以下の1~3度に分類されます。
- 1度熱傷:表皮のみにやけどが生じた状態で、皮膚に赤みは出ますが、水疱はできません。
- 2度熱傷:表皮の真皮にやけどが生じた状態で、水疱、潰瘍を形成します。赤み・強い痛み・灼熱感などの症状を伴います。
- 3度熱傷:皮下組織や骨にまでやけどが生じた状態です。皮膚の大部分が壊死するので、皮膚移植が必要になります。
やけどはすぐに冷やすことが重要です。水道水などでも構いませんので、火傷した部位を冷やして、保冷剤などで冷却しながらお早めに当院までご相談ください。
やけどの治療
やけどの深さ・ダメージによって異なります。
1度熱傷
ステロイド外用薬などを用いて治療を行います。
2度熱傷
ステロイド外用薬に加えて、感染予防・潰瘍を修復するための軟膏を用いて治療を行います。重症度によっては治癒まで1カ月以上かかることもありますので、定期的に受診して頂くことが必要です。
多汗症
頭部・手足・顔面・脇の汗が、通常の人より多く出ることで、日常生活に支障をきたしてしまう疾患です。「物を書く時、紙が汗で濡れてしまう」「足の汗がひどくて、ニオイがきつくなった」「脇汗がひどく、冬でも服に汗染みができてしまう」などのお悩みがある方も、少なくありません。症状の度合いや、困っていることなどに合わせた治療を提案していきます。
多汗症の治療
外用の抗コリン薬
外用の抗コリン薬は副作用としてかぶれなどが現れることがあります。
脇のみ保険適応となります。
ただし、閉塞性緑内障や前立腺肥大といった持病がある方には、処方できないというデメリットもあります。
内服抗コリン薬
神経系に作用するプロバンサインを用います。プロバンサインとは、アセチルコリンという物質の働きを抑え、発汗を抑える「抗コリン作用」を持っている内服薬です。
ただし、閉塞性緑内障や前立腺肥大といった持病がある方には、処方できないというデメリットもあります。
円形脱毛症
急に髪の毛が抜ける疾患です。老若男女問わず誰でも発症するため、小さい子どもでも起こり得ます。頭全体に広がるケースだけでなく、髪の毛以外の体毛(眉毛やまつ毛など)にまで及ぶケースまで、多岐にわたります。かゆみや痛みといった症状は伴いません。
自己免疫疾患などの基礎疾患を合併している場合もあり、血液検査などで調べる必要があります。
抜けている範囲が広くない場合や、数が少ない場合は、自然と治る可能性が高いです。知らず知らずのうちに、改善されいるケースも多々あります。
「脱毛が広範囲に及んでいる場合」や「長引いている場合」「急激に症状が現れた場合」は放置せず、ぜひ適切な治療を受けましょう。
円形脱毛症の治療
ステロイド外用薬、外用注射、液体窒素で、脱毛部位の免疫を抑えていきます。
白癬
「足の指の間がジュクジュクする」「皮がむける」「白くなってかゆい」などの症状が現れます。部位により、水虫(足)、しらくも(頭)、ぜにたむし(体)、いんきんたむし(股)と呼ばれていますが、正式には「白癬(はくせん)」と呼びます。
白癬菌(皮膚糸状菌)というカビ(真菌)の一種が足に感染することで、あらゆる症状が引き起こされます。この状態を足白癬(あしはくせん)と呼びます。白癬の方の半数以上を占めています。
日本は足白癬になりやすい環境で、特に夏場は25%もの方が足白癬を発症していると指摘されています。また、爪に白癬菌が感染することで発症する「爪白癬」も多くみられます。爪白癬は10人に1人が発症していると言われています。
白癬の診断を下すにはまず顕微鏡を使用して、発症した箇所の菌の有無を調べる必要があります。市販の水虫薬などを使ってしまうと検査ができない場合があるので、2週間以上は使わない状態で来ていただくようにお願いします。
白癬の治療
主な治療法は薬物療法で、抗真菌薬(外用薬や内服薬)を使用していきます。
また「症状が落ち着いたから」と治療を途中で止めてしまうと、白癬菌が残ってしまう可能性が高まります。外用は医師の指示まで使用してください。爪白癬には内服薬もありますが、その場合は採血が必要となります。(問題がなければ使用可能です。)
胼胝(べんち) (たこ)
皮膚の一部が刺激を受け続けることで、厚くなってしまう状態です。痛みはあまりありません。生活習慣によっては、足のうら以外に発生することもあります(例:ペンだこ、座りだこ、赤ちゃんの吸いだこなど)。
胼胝の治療
スピール膏などを用いて、硬くなった角質をほぐしていきます。また必要に応じて、カミソリ、ハサミ、メス、刃などを用いて削ることもあります。
鶏眼(けいがん)(魚の目)
一般的に「魚の目」と呼ばれ、真ん中に芯のようなものが見えています。一定の箇所に何度も刺激が加わることで角質が厚くなり、芯のようになります。芯が神経を圧迫するため、歩いた時に激しい痛みが走るようになります。
子どもの皮膚は大人よりも柔らかいため、鶏眼が発生するケースはあまりなく、鶏眼と診断された方の多くは、ウイルス感染による「いぼ(疣贅:ゆうぜい)」です。
鶏眼の治療
削る治療がメインとなります。状態によっては、魚の目の大きさに合ったスピール膏をご自宅で使用していただき角質をほぐしてから、切除を行います。
また、魚の目は原因(歩き方・圧迫・サイズの合わない靴 など)を取り除かないと再発する可能性があります。
皮脂欠乏性湿疹
- 加齢や入浴時の洗いすぎなどにより、皮脂や汗の分泌が減ってしまうことにより生じる湿疹様変化です。
- 冬など乾燥しやすい時期に多く、特にご高齢の方のすねに好発します。
皮脂欠乏性湿疹の治療
乾燥による痒みを抑えるため、保湿剤・ステロイド外用薬・抗アレルギー薬の内服などを使って治療します。また、皮膚の乾燥を防ぐために脱脂力の強い石鹸は避け、タオルでこすり過ぎずないようにしましょう。日頃からスキンケアを行うことも重要です。
白斑
白斑は先天性・後天的(生まれつきでないもの)のものがあり、後天性のものは、尋常性白斑(白なまず)と言われています。原因は不明ですが、自己免疫などが関与すると考えられています。自己免疫疾患や糖尿病なども合併することがあります。皮膚の色が抜けて白くなるもので、全身のどの場所にでも現れます。尋常性白斑は完治しにくい皮膚病とされていますが、人に感染することはありません。
尋常性白斑は、以下の3つのタイプに分けることができます。
- 全身、左右対称に出現する。
- 口囲と手・足の指に限局する。
- 皮膚の神経沿いに片側出現する。
白斑の治療
当院では、ステロイド外用薬・ビタミンD3外用薬を併用して治療を行います。
蜂窩織炎
身体の表面にある細菌が皮膚に入り込むことによって起こる感染症です。傷口や火傷、水虫、手術痕などの皮膚の傷から細菌が皮膚に入り込んで周囲で炎症が起き、腫れて赤くなります。押すと痛みを感じたり、熱を帯びるなどの症状が現れることがあります。蜂窩織炎を放置すると、発熱・倦怠感・関節痛・頭痛など全身症状を伴うことがありますので、気になる症状がある際にはお早めに当院までご相談ください。
蜂窩織炎の治療
治療は抗生物質の内服を行います。症状が重篤で発熱などを伴っている場合には、入院を含め点滴治療などが必要なことがありますので、その場合は高度医療機関をご紹介しております。
疥癬
疥癬は、抵抗力が低下した高齢者や介護関係の方に発症することが多いです。ダニの一種であるヒゼンダニが皮膚に寄生することで体に痒みを伴い、施設で集団感染・家族内感染することがあります。皮膚の柔らかい部分である体幹・指の間・陰部などに起こりやすく、全身に症状が出ることもあります。強い痒みが特徴であり、掻き過ぎると赤みやかさぶたが目立ちます。疥癬トンネルと呼ばれる、指の間をヒゼンダニが這っていった跡が見られることがあります。
疥癬の治療
疥癬の治療法には、イベルメクチンという内服薬の服用が有効です。診断時、そこから1~2週間経過した後の計2回の服用で効果的な治療が可能です。空腹時に水で飲む必要があります。内服薬でヒゼンダニの退治が済んでも虫の成分に対して体がアレルギー反応を起こすことがあり、治療後も痒みが継続することがあります。そのため、治療を終えても定期的に受診することをお勧めしています。
一般皮膚科で取り扱う薬剤について
ステロイドに関して
ステロイドは、体内の副腎(ふくじん)で作られるホルモンであり、様々な病気の治療に用いられています。このホルモンの作用を応用したものをステロイド薬(副腎皮質ステロイド薬)といいます。ステロイドには外用薬(塗り薬)に限らず内服薬・注射薬などがあり、外用薬は炎症が起きている部分に局所的に塗布することで炎症を抑える作用があり、湿疹・皮膚炎などの皮膚疾患を治療する際に幅広く用いられています。ステロイド外用薬は、抗炎症作用(炎症を鎮める作用)の他に、次のような作用があります。
主な作用
抗炎症作用 | 炎症を起こす物質の産生を抑える作用 |
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細胞増殖抑制作用 | 炎症を起こす細胞の増殖を抑制する作用 |
血管収縮作用 | 炎症を起こす血管の収縮を促すことで患部の赤みを鎮静化させる作用 |
免疫抑制作用 | 抗体の産生を抑制させ、免疫機能を低下させる作用 |
ステロイド外用薬は身体の部位により吸収率が異なるため、部位によって使い分ける必要があります。次に示したものは、ステロイド外用薬によって現れる可能性のある局所性副作用(塗布した部分に出る可能性のある副作用)です。
ステロイド外用薬の主な局所性副作用
- 乾皮症(肌の乾燥)
- 皮膚の萎縮
- 酒さ様皮膚炎・紅潮・口囲皮膚炎
- 毛細血管拡張(顔面によく起こる)
- 感染症の誘発、悪化
また、ステロイド外用薬には全身性副作用(皮膚を介して薬が吸収されて、全身に出る可能性のある副作用)が起こることがあります。効力の強いステロイド外用薬を長期間大量に使い続けない限り、次に示したような全身の副作用が起こることは稀とされています。
抗アレルギー薬に関して
アトピー性皮膚炎の痒みやアレルギー症状に対して、抗アレルギー薬はヒスタミンを抑制することができるため最もよく用いられる薬です。しかし、この薬は蕁麻疹やアレルギー性鼻炎の抑制には効果を発揮しますが、アトピー性皮膚炎に対しては効果が乏しいとされています。抗ヒスタミン薬の効果には個人差があるため、アトピー性皮膚炎を治療する上で、痒みに対して最も効果があるものはステロイド外用薬と考えることが大切です。抗ヒスタミン薬は一般的によく用いられる内服薬ですが、アトピー性皮膚炎を治療する上は塗り薬の補助的な役割であると考えます。アトピー性皮膚炎は主治医の診察を受けた上で抗ヒスタミン薬を処方してもらい、長期的に管理していく必要のある疾患です。
ビタミン剤と皮膚に関して
皮膚の機能を高める主なビタミン
ビタミンは人間の成長・健康維持に必要な要素であり、他の栄養素を働かせる潤滑油の役割を担っています。
ビタミンB群
ビタミンB群には様々な種類があり、B1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸があります。糖質・脂質・タンパク質を効率よくエネルギーに変えるためには必要な栄養素であり、単独摂取よりも複数の種類を同時摂取すると効果的です。ビタミンB群不足は肌荒れ・口角炎などの皮膚・粘膜トラブルを引き起こす原因となります。
ビタミンC
ビタミンCには抗ヒスタミン作用があり、タンパク質・ビタミンC・鉄から皮膚のハリやシワに関するコラーゲンが作られます。また、活性酸素が原因となる体の酸化防止の働きがあります。
ビタミンE
ビタミンCと同様の働きがあり、細胞膜に取り込まれて体の酸化防止の働きがあります。
よくある質問
お薬のみの処方はできますか?
医師法により、症状にお変わりがなく同じお薬の処方のみであっても医師の診察が必要です。また代理による診察もできかねますため、必ずご本人様の受診をお願いいたします。
こどもの診察は可能ですか?
可能です。ただし、小学生以下の方は原則として保護者さまの付き添いによる受診をお願いしております。また中学生の方についても初診や症状が変わった場合については保護者さまの付き添いをお願いしております。