性感染症・性病検査

急性尿道炎

急性尿道炎性感染症として発症する急性尿道炎は、淋菌性、クラミジア性、マイコプラズマやウレアプラズマなどによる非クラミジア性非淋菌性に分類されます。性器のほか、のどに咽頭炎として、または直腸に直腸炎として現れる場合もあります。陽性と診断された場合、パートナーに自覚症状がなくても一緒に検査を受けましょう。

淋菌性尿道炎

感染後、2日~7日という比較的短い期間で症状が現れます。男性の場合は、多量の尿道分泌物や激しい排尿時の痛みといった顕著な症状が現れますが、女性の場合はおりものの変化といった軽い症状しか現れない場合もあります。
診断には、尿を採取してPCR検査を行います。治療では点滴による抗生物質の投与を行います。治療後も尿道が狭窄するリスクがあるため、注意が必要です。

クラミジア性尿道炎

潜伏期間は約2週間で、感染しても男女いずれも症状が現れない場合が多く、発症を自覚できないことがあります。治療を受けないと将来的な不妊のリスクがあるため、少しでも不安があれば検査を受けることをお勧めします。尿検査を行います。治療は内服薬を1日服用するのみです。

非クラミジア性非淋菌性尿道炎

マイコプラズマやウレアプラズマが原因となって生じることが多く、昨今患者様の数が増え続けている感染症です。自覚症状が軽微で発見されづらいとされています。
尿検査を行うことで感染の有無を確認しますが、この検査は健康保険が適用されません。治療では抗生物質を用います。

梅毒

かつては多くの感染者が見られた梅毒も、ペニシリン治療の普及により患者数は大きく減少しました。しかし、昨今は再び感染者数が増加傾向にあります。
梅毒トレポネーマは、皮膚や粘膜の小さな傷口から入り込み、2~4週間の潜伏期間の後に性器の周りに初期硬結と呼ばれるしこりができます。このしこりは、唇など他の部位に現れることもあります。その後、しこりは中心に潰瘍を伴うようになります。これらの症状は数週間で自然に消失することがありますが、治癒を意味するものではありません。適切な治療を受けないと全身に症状が広がり、次第に全身の組織が侵されて脳にまで影響し、命を落とすこともあります。しかし、現代においては早期発見されるケースがほとんどで、適切な治療によって治すことができる疾患です。
感染の有無は、TP抗体検査とRPR抗体定量検査によって調べます。感染が確認された場合は、ペニシリン系の抗生物質を使った治療を行います。早期発見・早期治療であっても、治療には約4週間かかります。また、近年はHIVとの同時感染例も多いため、HIV検査も併せて受けましょう。

梅毒の注射治療にも対応しております

当院では、梅毒の筋肉注射療法である「ステルイズ」にも対応しております。1回の注射で治療が完了する方法です。従来の1か月間にわたる内服治療と比べ、患者様の負担を軽減し、治療の継続が難しい方にも適しています。この治療法は海外で広く普及しており、日本でも近年認可されました。飲み忘れや内服の副作用リスクが軽減されることが大きなメリットです。
治療は院内で注射を1回打つのみで完了します。注射後は副作用の有無を確認するため、30分程度院内で待機していただきます。治療効果の確認のため、1カ月後に再度ご来院いただいております。
当院でもステルイズに対応しておりますので、気になることがございましたらお気軽にご相談ください。

性器ヘルペス

陰部に水疱や潰瘍などの病変が現れる病気で、症状が治まった後もウイルスが体内に残り続け、免疫力が落ちると再発します。主な原因は単純ヘルペスウイルスⅡ型の感染で、2日~20日ほどの潜伏期間を経て発症します。病変が見られる期間は感染力が強いですが、症状が落ち着いている時期にもウイルスが排出される場合があり、感染が拡大する恐れがあります。初めて感染した際は重篤な症状が現れる場合があり、特に女性は歩行が困難なほどの激しい痛みや高熱を伴うことがあります。
病変があれば視診で診断可能ですが、皮膚を拭う迅速診断キットでも診断できます。自然治癒する可能性もありますが、症状が重い場合は抗ウイルス薬の内服が効果的です。また、軽度の場合は、軟膏の使用で比較的短期間で治癒する可能性があります。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。2~3ヶ月の潜伏期間の後にイボ状の隆起が現れます。治療を受けないとイボの数が増加し、合体して鶏のトサカやカリフラワーのような形状になる場合があります。なお、かゆみや痛みは起こりません。治療には外用薬が用いられ、大きな病変に対しては電気焼灼術や凍結療法が選択される場合もあります。

性器カンジダ

カンジダは真菌(カビ)の一種で、粘膜や皮膚に常在する菌ですが、免疫力が落ちると過剰に増加し、かゆみや赤みが生じます。稀に尿道炎に似た症状が現れる場合もあります。女性の場合、酒粕やヨーグルトのような独特の白いおりものが認められる場合があります。女性が発症しやすいとされていますが、男性でも包茎の場合は陰部が湿潤・高温状態になりやすいため、発症リスクが高まります。
抗生物質は真菌に対して効果がないため、抗真菌薬を使った治療が必要です。

性病の検査・治療

保険診療(3割負担の場合)

当院では保険適応で検査と治療を行っております。初診の場合の検査・治療費用は下記の通りです。

クラミジア、淋病 約2,000円~4,500円
梅毒 約3,000円~4,000円
尖圭コンジローマ 約2,000円~4,000円
性器ヘルペス 約2,000円~4,000円
トリコモナス感染症 約2,000円~3,000円

※症状がない場合は自費診療となります。

性感染症検査(自費)

クラミジア 3,500円(税込)
淋菌 3,500円(税込)
トリコモナス検査 4,000円(税込)
HIV(抗原・抗体検査) 3,000円(税込)
梅毒定性検査(RPR TPHA)※1項目1,500円 3,000円(税込)
B型肝炎(HBS抗原) 3,000円(税込)
C型肝炎(HCV抗体) 3,000円(税込)
成人T細胞白血病(HTLV-1) 3,000円(税込)
マイコプラズマ4種(マイコプラズマ、ウレアプラズマ)・単純ヘルペス(1型・2型) PCR法 12,000円(税込)
検査方法:男性の場合は尿・採血、女性の場合は膣分泌・尿・採血のいずれかです。

診察料(自費)

初診料 2,200円(税込)
再診料 1,100円(税込)

男女共通の検査セット

クラミジア・淋菌セット 6,500円(税込)

  • クラミジア
  • 淋菌

性感染症・咽頭セット 11,000円(税込)

  • クラミジア
  • 淋菌
※尿または膣分泌と咽頭のセット

性感染症血液Aセット  10,000円(税込)

  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)

性感染症血液セットB  8,000円(税込)

  • B型肝炎
  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)

女性向けの検査セット(膣分泌物・尿・血液)

初めての検査セット(女性用) 13,000円(税込)

  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)
  • クラミジア
  • 淋菌
  • カンジダ
  • トリコモナス検査

性感染症セットA 12,000円(税込)

  • B型肝炎
  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)
  • クラミジア
  • 淋菌
  • カンジダ

性感染症セットB  11,000円(税込)

  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)
  • クラミジア
  • 淋菌
  • カンジダ

性感染症セットC 15,000円(税込)

  • マイコプラズマ4種
  • 単純ヘルペス(HSV-1・HSV-2)
  • クラミジア
  • 淋菌

性感染症セットD  7,000円(税込)

  • クラミジア
  • 淋菌
  • カンジダ

男性向けの検査セット(尿・採血)

初めての検査セット(男性用) 13,000円(税込)

  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)
  • クラミジア
  • 淋菌
  • トリコモナス検査

性感染症セットA  12,000円(税込)

  • B型肝炎
  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)
  • クラミジア
  • 淋菌

性感染症セットB  11,000円(税込)

  • 梅毒定性検査(RPR TPHA)
  • HIV(抗原・抗体検査)
  • クラミジア
  • 淋菌

性感染症セットC  15,000円(税込)

  • マイコプラズマ4種
  • 単純ヘルペス1型・2型
  • クラミジア
  • 淋菌

性病予防 ドキシペップ

DoxyPEPは、性行為後にドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)を服用することで、梅毒、クラミジア、淋病などの性感染症(STI)を一定の確率で予防する方法です。日本ではまだ一般的とは言えませんが、徐々に認知が広がり、実際にその有効性を感じている方も増えてきています。
米国をはじめとする海外では、DoxyPEPの有効性を裏付ける研究データや論文が発表され注目度が高まっています。2024年3月に米国コロラド州で開催された感染症関連の国際学会「CROI 2024」でも、DoxyPEPの効果に関する最新の研究データが発表され、その有効性が改めて確認されました。

予防効果

梅毒やクラミジアに対する予防効果は約90%に達するとされています。一方で、淋病についてはやや効果が低下するものの、それでも約60%の予防効果があると報告されています。特に梅毒は一度感染すると治療に約1か月を要するため、リスク行為後にDoxyPEP(予防的ドキシサイクリン服用)を行うことが重要です。
予防効果を確実に得るためには、リスク行為から72時間以内にドキシサイクリンを服用してください。特に、感染初期の菌量が増える前、24時間以内の服用が理想的です。1回の服用で予防効果が期待できますが、72時間を超えてしまった場合は医師にご相談ください。
当院では、信頼性の高いファイザー社製のドキシサイクリン(ビブラマイシン)を採用していますので、安心してご利用いただけます。

費用

1回分 2,200円 (税込)

※自費診療となります。

副作用

お腹の張りやお腹がゆるくなることが報告されており、稀に吐き気を生じることがありますが、通常は数日で解消します。

TOPへ